頭の中が「日本」

頭の中が「日本」

これほどまでに固定概念で悩まされる人種はいないのではないか、そう思うくらいです。

アメリカ永住を果たした友人達でさえもそう。

「頭の中が「日本」」

固定概念に占拠され新しい概念や多様性を受け入れられない人を皮肉として表現するときに、彼らが使う言葉でした。

「あの人アメリカにいるのに、頭の中が「日本」のままだね」

初めてこの表現を耳にしたとき、ショックでした。

「完璧な仕事の仕上げ」「真面目に取り組む姿勢」が職場で賞賛される一方で、その完璧主義を私生活に当てはめると逆効果になるのだと。

コロナパンデミックを契機に、急速に加速したテレワーク。しかし、ここにもまた固定概念と急激な生活の変化に苦しむ人々が大勢います。

今回は、日本独自の固定概念に支配される私人生に、そろそろ終止符をうちませんか?というお誘いです。

”普通”に生きているだけで固定概念を植え付けられる島

育成時期別に浴びせられる典型的なセリフから、植え付けが助長される固定概念を一覧表にしました。みなさんも身近にあるものをまとめてみて、眺めてみてください。

今回のコラムでは具体例に留めているため、例の数は少ないですが、数百個ほどすぐに思い浮かぶと思います。

ここでは固定概念を、〇〇するべきという「べき思考」から想起すると見つかりやすいでしょう。表の中では、「〇〇べき」という表現を多く用いられています。

さて、あなたの周りには「べき思考」でものごとを考える癖がついた人が、どれほどの数存在するのか、1度数えてみてください。

代表的な固定概念(年代別)

時期典型的なセリフ植え付けられる固定概念(〇〇するべき)「べき思考」
幼時期女の子/男の子らしくしなさい自覚する精神的な性別より生まれながらの身体的な性別を優先すべき
親/先生/コーチの言う事を聞きなさい年齢による上下関係と圧力を尊重すべき
学童期〇〇しないと、お友達に嫌われるよ多様性の否定
ワガママ言わないでみんなと同じにしなさい同調圧力の助長
青年期(自己主張に対して)ワガママばっかり言わないでください個性のDisrespect(尊重しないこと)
高学歴、高収入が得られないと「幸せ」になれないよ過労、競争、他者との比較を助長
育児世代ママ/パパなんだから、〇〇しないと「親失格よ」自己肯定感のさらなる低下
子どもがちゃんとしていないのは、親の育児が悪いから子どもを通じた親自身の評価を得る文化、悪循環の始まり

漬け物石を頭や肩に乗せた人生

実際私は、漬け物は手作りしませんし、漬け物石がけして身近にあるわけではないのですが、昔よく聞いた表現として気に入っているのでよく使っています。

つまり、何か目の見えない重い重い義務感や責任感、固定概念を基盤にした否定的な思考の癖が常にのしかかっていて、自由がきかない人生です。

これは私が病院勤務時代に常日頃、感じていたことです。 

整形外科医だった時は、手術症例以外はいわゆる慢性障害を保存療法として行っていました。腰痛や肩こり症例を例にあげると、エコーガイド下筋膜リリース生理食塩水注射や腕のいい理学療法士とのコンビ治療。スポーツ医学で学んだ最先端のコンディショニングやトレーニング方法。様々なものを用いました。

いずれも効果がありました。

しかし、どれだけ完璧に身体を治しても、患者さんが心に苦しみを抱えていると、満足度は低く、身体的な問題を再発しやすいということです。

その気づきのままに、心と身体の両面からアプローチする最新の治療法を自然と求めていました。そして、渡米。

「心のあり方」を改善する教育システムや気軽に訪れることが出来るカウンセリングルームの存在。学生スポーツ現場においても多くの指導者は競技スキルより、人間性を鍛えることに重きをおいています。

圧倒的に文化の違いがありました。根本治療に近づくには、やはりこれではないかと思っています。

固定概念を外す「二刀流メンタルトレーニング」

私自身、「人間のもろさ」を実感させられることが多かった幼少期を過ごしました。当時から、ネガティブな固定概念や思考の癖を見直していく治療法が必要だと思い続け、はや30年以上経ちました。

運動器の専門医師になった今も、私が思う手法は存在していません。

まさに漬け物石のように乗りかかるネガティブな固定概念や思考の癖を取り除く具体的な方法です。

「乗ってるから降ろせば良いんだよ」

と言ったとて、そもそも本人は石が乗っている事にすら気がついていない状態ですし、取り除く必要性を感じていなければ、言葉で言ったところで通じるはずがありません。

今は便利な時代で、ネットや書籍、セミナーから問題に対処する知識をすぐに得ることができます。例えば、「他人からの善意によるアドバイスにイライラしてしまう」という問題。対処法としてよく見かけるのが、怒りの感情を「書き出す」という方法です。

感情を文章で表現することで自分を客観視でき、気持ちを切り替えられるというわけですね。

この方法は確かに一時的に問題を緩和する「対症療法」としては効果があります。しかし、根本的な問題の解決には至りません。つまり漬け物石は乗ったまま。

なぜなら、「アドバイスにイライラ」の背景には「自尊心の低さからアドバイスが自分への攻撃に思えてしまう」など、より根の深い心の問題が関係していることがあるからです。

根本となる心の問題を解決しなければ問題は様々な形で再発します。だからこそ、対症療法から一歩踏み込んで根本からの解決を目指したいと思いました。

注意してほしいのは、対症療法を否定しているわけではないということ。対症療法も時には必要ですし有効な手段になりえます。ただ、根本を私の目指す解決する方法との二刀流が良いのではないかと思います。

「効率良くしたい」性分

私はせっかちでもイライラしやすいタイプでもありません。話すのがおっとりゆっくりなのでその外見とのギャップに拍子抜けされます。大阪人特有の「つかみは OK」 という楽しい気持ちを持っています。

ただ根っからの性分としては「効率家」です。決め台詞は「同じ動作を2回以上したくない」「同じセリフも2回以上言いたくない」。

だからテクノロジーを使いこなしていたり、伝えたい内容を2回言わなくて済むように文字として表現していたりします。 

先ほどの「イライラの対症療法」の例から、話を広げます。

最近、オンラインサロンやグループにはまっている人を多く見かけるようになりました。ちょっとしたおつまみ程度の楽しみなら良いのですが、「辞められない・・・」は少し過剰な気がします。

きっと、現在のパンデミック状況から、屋外での人との接触が減ったことで楽しみを失った派の方々だろうと。

例えば、頭や肩に思い固定概念の石が乗っかっている状態で、「重さを感じないようにしようね!」と身体を鍛えたり栄養ドリンクを飲んだり、重くないふりをしたり、同じように重い人と手を繋いで気を紛らわしたりするのが、その「はまっている」状態に似ているのだろうと思います。

結局独りになった時には、いつも通り、「ドッ」と疲れていることでしょう。なぜなら、漬け物石は乗ったままで、「頑張って」重さを感じないように紛らわせているようなものだからです。

病院で例えて言うと、塗り薬や飲み薬の対症療法と、手術による根本治療との違いのようでしょうか。

日常において生きにくさや窮屈さを感じる原因は、「自らが持つネガティブな思考の癖や固定概念」ではないかといわれています。

生きにくさの原因である「ネガティブな固定概念や思考の癖」を取り外すアプローチをすると自然と自分らしさを取り戻し、思考力が改善します。そういった手助けをしているのがTHRIVE(スライブ)メンタル・トレーニングです。私が30年ほど描いてきた手法そのものです。

方法さえ習熟していただければ、今後どんな石が乗っかかっても自分で下ろせますし、そもそも石が乗らないように予防できます。また、必要に応じて自分で外す手術もできるでしょう。それが卒業を意味し、目的は「自立」です。

自立する人間力を育てたい

全ての人はTHRIVE(日本語訳:キラッキラにありのままの自分で自由な思想で生きる) する能力を持っています。

しかし、現代社会に流されて生きているだけでは、その能力が発揮できないと、私は感じています。

現代を生き抜くには、「しなやかな強さ」を持つ自立した人間力が必要です。

「単なるわがままな人」ではなく、「感情や思考が自由で豊かな人」である人間力。

本当の意味で「優しさ」「思いやり」を持つ人間力。

現在のコロナパンデミック期間中は、人間力を鍛える時間でもあるのだと感じています。

方程式は「自分向き合い力=本気度合い×向き合う時間」で表現されるのではないでしょうか?

今一度、自分に本気で向き合う時間を。

それが、最高の楽しみであり、ご褒美でしょう。

Good luck!

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この記事を書いたドクター

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福島 八枝子
明るく好奇心旺盛な整形外科専門医Dr.ヤエコフがお届けします。スポーツ医学の本場アメリカで研究したPM&R(Physical Medicine& Rehabilitation)を扱う最新医学情報をはじめ、海外や日本での生活におけるおもしろエピソード等をご紹介

資格・経歴