「私の名前を呼んでください」 Call me my name.

「私の名前を呼んでください」 Call me my name.

旦那さん、ご主人、奥さん、妻、旦那、先輩、後輩、おじさん、おばさん、先生、社長、教授、理事長、

代名詞と言います。読んで字のごとく名詞に変わるもの。

せっかく日本文化を忠実に守って「ご主人様」「奥様」と尊敬の気持ちを込めて発言したことが失礼ととられてしまう可能性があることをご存知でしょうか?

日本の常識は世界の常識ではないことも。

今回はアメリカのミシガン州に在住する日本人国籍の友人とのエピソードを通じて

、英語を学ぶすべての人にお伝えしたい語学を学ぶ前の姿勢、文化の違いをご紹介します。

外見は日本人中身は世界人

私の友人の名前はサリナ(以下、S)。たまたまビザの関係で日本へ一時帰国した時に出会った幸雄(ユキオ、以下、Y)という日本人と結婚し、彼を連れてアメリカに戻りました。Sは中学から海外で暮らしているので日本で生活していた時よりも海外での生活時間の方が長く、もうネイティブ同様に流暢な英語力です。時々変な日本語を話すくらいです。

一方Yは、一時帰国したSと日本で出会って結婚後にアメリカに移住していますので30歳頃から英語をスタートし現在10年目。

2人とも容姿はいまだに日本人風が少しは残っていますが、中身はもう完全にアメリカ人と思ってもいい位です。

しかも研究者である2人は、厳しいアメリカでの競争社会を生きています。文字通りサバイバルしている勇敢な2人。

そんな2人から連絡が入る

最近オンライン上でのパーソナルトレーニングが非常に流行っていますよね。

「ステイホームで超運動不足。デスクワークが増えて2人とも、腰痛と肩こりがひどいんだ」「誰かパーソナルトレーニングの先生紹介してくれない?オンライントレーニングでも受けてみようかなって思ってる」とSから連絡が来ました。

普段から健康意識が高い2人。

それでも肩や腰が凝ると言う事はよほどいい腕の先生を紹介しないといけないと思いました。

腕の良い先生を紹介

巷では評判のN先生をご紹介しました。

N先生は初対面のズーム面談の時に、ご夫婦の氏名を丁寧に確認しました。さすがプロです。

「ご主人様は幸雄(ユキオ)さん」「奥様はサリナ様」「よろしくお願いします」

在米暦が日本にいた歴よりも長くなっているSですが、日本語が通じるのでこちら側としてはコミニケーションに全く問題を感じません。

私はズームの画面上には存在するけども、ただ見守る係に徹することにしました。

つい忘れてしまう人の名前

実は私、人の名前を覚えるのが苦手なタイプです。だからズーム時代の到来は、私にとっては有利なんです。ズームミーティングではパソコンのモニター上にその人のお姿とお名前が同時に出て今表示されています。

もちろん最初のご挨拶自己紹介の時に名前のメモを取ります。ただ話が白熱してくるとお名前を失念してしまうことがあり。私は、参加者に何かを話しかける時ちらっとその人の表示名を確認。0.1秒ほどのズレでちゃんと名前を呼ぶことができます。

オンラインミーティングのが主流となり、とうとう私の時代が来たと喜んでいる人の名前を覚えるのが苦手な人は、少なくないと思います。

自己紹介が済んでトレーニング開始

Nは、日本文化を忠実に守って「腰痛がひどいご主人様がYさんで」「奥様のSさんは肩こりの方がひどいのですね」と再度確認。いよいよオンライントレーニングが始まりました。

Yは思った以上に腰が硬くて全然柔軟ができません。トレーナーのNはSにYの背中を押したり摩ったりするよう巧みに指示を出します。オンライン画面上でもこんなに充実したトレーニングが受けられるなんて、2人とも喜んでいます。

だんだん慣れてきてNは、これまでのお客様と言う他人行儀から、だんだん打ち解けて口調も和らいできます。時々冗談飛び出すほどに。

人間、緩んだ時こそボロが出る

思っていた以上にYの腰痛が重症で、Sのヘルプが必要になってきました。先ほどまで名前で呼んでいましたが、このあたりからNが「ご主人もっと頑張って頑張って!」「力いっぱい背中を押してあげてくださいね、奥さん」と慣れている言葉で励まし始めました。

Nからきつい筋肉トレーニングを言い渡されたYはSの介助下にまたがんばります。2人とももうすっかり息が上がってしまいました。

「ちょっと休憩。息が上がるわ。N先生、私の名前はサリナで、彼はユキオね」とSが笑顔で再度名前をNに伝えてきました。

「了解です。」とNの返答。

名前で呼んでくれない?

休憩が明けて再度きつい筋肉トレーニングからの再開です。呼吸を荒らげながらも頑張る2人に向けてNは「奥さんもっとを力を入れて、もっともっと!」と声援を送っていました。そこでSがびっくりした顔をしてこちらを見てきました。

このオンラインセッションの時私は、ただの見学者でしたが、Sが驚いてこっちを振り返ってたことに私は何か嫌な予感がしました。

Nにこっそりメッセージを入れましたて「今Sがこっちを振り返ったよね?多分ね、下の名前で呼んだほうがいいんだと思うよ」

Nはトレーニング指導に的確なアドバイスを加えているので私のメッセージに気づきませんでした。そして続けます。「ご主人!もうちょっとがんばりましょう」これは日本ではもちろん当たり前に、100%応援の気持ちを表す決まり文句です。

続けます、「さぁ奥さん!もうひとがんばりですよ」「奥さんの腕次第で…」と話を続けようとしたところでSが割り込みます。

「Nさん、私の名前はサリナ。彼はユキオ。名前で呼んでくれない?」

知識で知っているのと体感するのは違う

一瞬その場が凍りました。ものすごく怒っているわけでは無いけど、「失礼なことしないで」と言わんばかりのピリッとした雰囲気が伝わってきました。

頭で知識として知っているのと身体で体感するのは違います。

「やばいやばい」と私が、Nに丁寧に説明を入れます。

「私も昔は、同じ失敗をたくさんしたんだけどこれが日米の違いなんだ」

日本の常識は世界では常識ではない

日本国内では尊敬の気持ちを込めて代名詞をあえて使います。

「奥様、ご主人」など。それを英語圏の方からしたら「名前を呼んでもらえないつまり、いつまでも他人行儀に扱われている」という解釈から、代名詞をずっと使うのはよろしくないんです。

「信頼関係を構築する上で相手の名前をは覚えることが、第一歩」「名前を覚えないなんて友達になりたくないと言ってるのと一緒だよね、寂しいよそれ」と教えてくれた友人もいました。

要はただの文化の違い

もし名前で呼ぶほうが良いに決まってるという前提の知識があれば誰だって代名詞で呼ぶことは避けたと思います。ただ単に文化の違いを知らなかっただけなので、今このこれも読んで知っていれば大丈夫です。

私のように純粋に覚えるのが苦手、たまたま名前を失念した、もしくはうる覚えで間違えないか不安であるときは、「すみません、英語の名前にまだ不慣れです」と相手に伝えた方がまだマシです。

私の場合、日本人以外の名前になじみがなかった為、しょっちゅう聞き直しました。

英語力不足だった当時の私はそのたびに誠意込めて謝りもう一度名前を教えてもらう努力でなんとかカバー出来ました。

名前が覚えられないときの対処法

初対面の段階で私の英語力不足などに気づかない人は、「名前を覚えていない人」という良くない印象を与える結果になりました。

そこから学んだ私は、「あなたの名前を覚えたいからフルスペリングを教えてくれない?」と最初の段階で聞き、メモを取ったり、スペルが聞き取れないときはスマホのメモアプリに入力してもらいました。もし失念してしまったら正直に、「名前を忘れたのでもう一度聞いてもいいですか?」と聞き直しました。

すると断然その方が印象が良かったです。だって根底に、「あなたの名前をちゃんと覚えておきたい」という原動力があることを伝える行為にもなるからです。

言語が違うけども気持ちは同じ

例えばアレキサンダーAlexanderなら、10文字ですよね。

大抵の日本人は漢字やひらがなが10個も並ぶことはありませんよね。最初は覚えられなくて当然です。 

しかし、自分家に馴染もうとする努力や「友達を増やしたい、あなたの名前を覚えたい」という原動力を表現する努力は必須です。

この一手間を行うのと行わないで雲泥の違い。

「あなたの名前を覚えたいからメモを取らしてください」

こう言われて嫌な気になる人はいないと思います。この一言をぜひ屋することなく言ってください。この一手間が英語力不足を補った上で、友達を作っていく秘訣かと思います。

終わりに

実は人の名前を覚えるってこれは日本語でも同じです。特に日本語においては漢字間違えもポイントになりますよ。

「大切なあなたの名前を間違えたくない、あなたとこれから良い関係を作っていきたいから名前を覚えたい」

「どんな漢字を使われるのですか?」「素敵なお名前ですね」

こんなこと言われたら嬉しいに決まっていますよ。

実は代名詞で呼ばれている側はどこか壁を感じ、寂しくなっています。

大多数に当てはまる代名詞ではなく、世界1人の名前を呼んでほしいですね。

人をいたわる気持ちを表現する気持ちを原動力とし、表現する一工夫さえ惜しまなければ、使う言語は違えども良い人間関係が作れると思います。

どうぞ相手の方の名前を呼んで下さい。世界に1人しかいないあなたと誰かの名前を。

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この記事を書いたドクター

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福島 八枝子
明るく好奇心旺盛な整形外科専門医Dr.ヤエコフがお届けします。スポーツ医学の本場アメリカで研究したPM&R(Physical Medicine& Rehabilitation)を扱う最新医学情報をはじめ、海外や日本での生活におけるおもしろエピソード等をご紹介

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