「負のスルーパス」を止める

「負のスルーパス」を止める

とある例を共観します。

これは、養育者となった大人とその養育者を過去に育てた養育者との間に生じる上下関係が生む摩擦です。所替品を変え、似たような事象はほんとうによく見かける「日本あるある」です。ある意味もう文化ですよね。

上下関係とは、特にアジア圏内でいつまでも根強く残る文化の1つです。日本はこの文化を非常に色濃く残しました。もちろん、年齢という数字で上下を付けましたが、そうは言いつつも本質は、年が上も下も敬おうという倫理観の話だったはずです。基本的に良い意味で使われていた過去の美しい文化だったのですが、現代版では時に間違った使い方をされているようにも見えます。これでは、誤った文化を半ば強制していることと同じで、息苦しくなってきます。

かつては子どもだった人が親という養育者の立場として今やもう、ご立派にやっているのですから、あのような言い方が適切だったかと言えば、そうではないと私は思います。いつまでも「子は子」理論をまさに上から押しつけてきた半強制の例でした。

今回の例は、年齢の数字が高い人から半強制的に受けた負のパスをなんとスルーしてしまったからさらに大変な事態なんですよ。負のスルーパスを受けた無邪気な子どもは、ただただ傷つきます。パスをスルーした本人に悪気がないことが多いのが、またこの連携プレイのややこしいところです。無意識のスルーパスなんです。

もしこれが、サッカーのゴール前でのシーンなら、無意識で絶妙なスルーパスが出来る選手は天性の才能だとか賞賛されるのですが、実生活では違います。

ゴールに結びつくナイスなパスなら良かったのですが、負のスルーパスとタイトルにしたように、良いパスではなく、もらって嬉しくない負のスルーパスの連携プレイを今回のコラムでは取り上げて参ります。

蔓延する負のスルーパス連携

負のスルーパス連携は、意外にも現代社会に蔓延しています。疲れていたり、油断すると自分もこの負のスルーパス連携の一員になってしまう可能性があるので要注意ですよ。特に組織に所属している人は。ちなみに、組織の所属とはどんな小さな組織であってもですよ。

冒頭の例のように負のスルーパスを子どもに渡す養育者もいれば、同僚、友達や恋人、近所の井戸端会議でさえも発生しえます。つまり、自分を取り巻く環境内全てす。さらにやっかいなのは、上下関係が存在していなくとも「負のスルーパス」は生じ得ます。

例えば職場で、「Aさんがあなた(B)の悪口を言っていたよ」、とB本人にCが伝えます。

この状況では、AがCに蹴った負のパスをBにスルーパスしてしまった例です。Cは恐らく良かれと思ったり、「私、Jod jobしたわ。あぁなんて良い人。」と酔っているかもしれませんが、負を受け取ったBは全く嬉しくありません。

この形式を職場の数人がやり続けるだけで、あっという間に職場が「負」で汚染されてしまいます。

今度はAがDについて言った悪口をEがDに伝えたり、気分を悪くしたDが発したAへの文句をFが受けたり。集団としては本当に良くない状況です。

良くないとは分かっていても、見えないボールを蹴るように「負のスルーパスの存在」を知らずにいる人は意外にやってしまっている場合もあったり、もしくは身近でこのようなやり取りの発生さえも、気に留められない可能性があります。

子どもも大人も、人間とは感情を持つ生き物

栄養たっぷりの水を植物に与え続けてると、立派に育ったり多くの実を付けたりしますよね。人間にも栄養たっぷりのお水を与えて欲しいと思います。

人間にとっての栄養たっぷりのお水とは、「愛のある発言」や「思いやり」、「優しさ」です。

1番目は言語というツールを使った表現方法なので、手紙であれば視覚的に、聴覚的には冒頭のエピソードみたいに「聞く」という行為で受け取ります。思いやりや優しさはその形を一定に持ちません。けして、「甘やかす」ではありません、むしろ正反対です。叱咤激励の中に隠れていたり、だれかを直接ケアする行動で表現されたり。目に見えたり見えなかったりするのが「愛のある発言」や「思いやり」、「優しさ」です。

さきほどの例を再考します。

「Aさんがあなた(B)の悪口を言っていたよ」、とB本人にCが伝えます。

この時、本当にCはBに単にこの事実を伝えた意味はなんでしょうか?恐らくですが、Bは教科書的な良い人を演じることで友達が欲しいのでしょうね。ただ、そんなやり方では本当の友達は一生出来ません。本当の友達なら、Aに真意を問い、不一致Conflictionを解決すべきです。

C 「そもそもなんで、あなたはBの何か気に入らないの?」

A 「実は、こないだの会議で反対意見を言われて、まるで否定されたみたいに感じたんだ。それ以降、苦手。なんかがさつだし。」

以下に挙げるすごい冷静な意見を、この会話の続きでCがやんわりとオブラートに包んでAに伝えていってくれれば私は満足です。

  1. 会議の場での意見の対立と、生活は切り離して考えるべき
  2. そもそも、Discussionの席は論理や建設的な内容のみが必要で、いちいち感情論を持ち出すあなたの方が未熟
  3. 誰かの悪口を同僚に言うことで、自分の未熟さをさらにアピールしているだけ
  4. もし、組織内に何か不都合があるなら、第3者や信頼出来る人に解決を求めて相談すべき
  5. がさつかどうかの判断はあなたの仕事ではない

豊かな国が生む負の遺産??

実はタイトルを「負の遺産を継承」にしようかと思ったんです。しかしその言葉を見て、「日本文化を悪く言わないで欲しい!」と敏感に反応してしまう読者がいるのではないかと危惧して、スルーパスにしました。

ここで大前提をお話すると、私は日本文化を悪く思ったこともないし悪く言う気は一切ないんです。世界遺産の和食を代表とする食文化。ちょっと出歩けば行列の出来るほどに美味しいレストランが存在。しかも数千円で安全に健康的にグルメが堪能出来ます。依存Addictionを誘うような法令ギリギリの化学薬品は入ってない、もしくは少なめだと信じています。町も武装なしで歩けます。テロリストの紛争も、対他国との戦争も現時点では起きていない平和な国です。交通網が驚くほどに発展していて、飛行機を乗り継いで何日間もかけてたり、自家用ジェットをわざわざ用意しなくても車や電車で田舎の家に数時間で行けます。国内の言語も通過も1種類で、国内のどこででも通じます。田舎に行けばしっかり自然もあってスポーツも出来るHappy islandです。

ただこんなに豊かな国に住む日本人のマインドは、果たして本当に豊かだろうか?

そうと思う場面が多々あります。真面目で勤勉という特徴を生かした大幅な経済成長はもう十分すぎるくらいに発展して来ましたので、そろそろ一旦休憩とし、まるでヨーロッパのようなのどかな雰囲気で日本人のマインドの急成長を期待するからこそ、コラムに思いをしたためるのです。

この豊かな国が生む負の遺産とは、これまで例に挙げたようにまるで毒を含むようなNegativeな言葉の数々です。まるで毒を体内に吸収した毒を吐き出すように、言葉に毒が混じります。その毒はどんどん形にもなっていきます。それが負の遺産としてどんどん次の世代へ継承されてきているのです。

そろそろ、この継承を止めませんか?

皆さん生まれた瞬間にはネガティブなマインドも毒の言葉も持っていませんでした。時間を重ねて生きていくうちに、周囲の言語を話す人から言葉というツールに乗った毒を吸収してきたのです。

受け継いだからといって、けして他の人にパスしないでください。

新型コロナウイルスPandemicを機に、日本に到来したテレワーク時代。今度は、SNSやインターネットに毒をのせた負のスルーパスをしないように、心がけましょう。もらった負のパスはどこか遠くへ蹴り飛ばして下さい。昔、「キャプテン翼」というマンガを愛読しておりましたが、日向小次郎が蹴ったボールはゴールネットを突き破りさらに、壁に当たってボールがパンクしてました。そんな勢いでお願いします。

ストッパーは勇者です。

ニューノーマルに、勇者を求む!

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この記事を書いたドクター

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福島 八枝子
明るく好奇心旺盛な整形外科専門医Dr.ヤエコフがお届けします。スポーツ医学の本場アメリカで研究したPM&R(Physical Medicine& Rehabilitation)を扱う最新医学情報をはじめ、海外や日本での生活におけるおもしろエピソード等をご紹介

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